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あれはドラゴンクエスト10発売の1週間程前でしょうか。

私は仕事の出張でイタリアにいました。

20歳の頃に一度、語学留学のために行ったイタリア。

今回で二度目の訪問。

ローマの街並みは、何も変わってなく

私は仕事の合間をぬって思い出の地、

サン・ピエトロ広場に足を運んでいました。

大理石の柱が2重に取り囲む巨大な広場には、

大人数の観光客でサン・ピエトロ大聖堂へと続く長い行列を成形していました。

私はその大人数のただの一人として、

そこにただ立っていた時です。


『あの・・・すいません・・・?』


異国の地で母国語で声を掛けられた私は、

動揺をしながら声のする方へ顔を向けるとそこには、

黒髪の女性が立っていました。

歳は見た目から20代前半といったとこでしょうか。

肩まで伸びた綺麗な黒い髪と、

大きな澄んだような瞳に私は吸い込まれそうにになり、

自分が声を掛けられたことも忘れ、

彼女の顔をただただ見つめてしまっていました。



『あれ・・・もしかして日本の方じゃなかったかしら・・・
 ああ・・・ソーリー!ベリーソーリー!』

『ああ!すいません!異国の地で日本語を聞いてしまいちょっと動揺してしまいまして。』


本当は彼女の綺麗な顔立ちに見惚れていたなんて言えず、

焦ってありきたりな返事をする私。


『ああ・・・!よかった!一人でイタリアに来たものの、
 全然言葉が通じなくて・・・挙句道に迷ってしまって・・・
 あの・・・このホテルの場所、ご存じではないですか?』

『おお、偶然ですね。このホテルなら私の泊まっているホテルと一緒だ。案内しましょう。』

『本当ですか!?ありがとうございます!』


神様がくれた偶然なのか、

彼女の泊まるホテルと私のホテルが一緒という事実に

動揺を隠すのに全神経を注ぎ、

私は紳士的に彼女をホテルへと案内しました。

ホテルまでの道のりでは、彼女が一人で旅行に来たこと。

彼氏とつい最近別れて、傷心の身であること。

日本では、モデルの仕事をしていること。

私と彼女は異国の地で知り合った偶然が背中を押し、

お互いのことを初対面とは思えない程に会話の花が咲いた。


『ここが、目的地だよ。』

『本当にありがとうございます!
 なんて、お礼をいっていいのか・・・』

『いやいや、そんなに改まらないでください。
 異国の地で、同じ日本人。
 お互い助けあいましょう。
 あっ、ちなみに僕の部屋は505号室なので、
 また、何かあったら言ってください。』

『何から何まで本当にありがとうございます!』


こうして、私は彼女を見送った。

長旅の疲れからか、

私も自分の部屋に戻りベッドの海へダイブした。



・・・どれくらいの時間が経っただろうか。

気が付くと、外は暗く携帯電話の光だけが部屋を灯していた。


コンコン・・・

コンコン・・・


ドアを叩く音がする。

こんな時間に訪問者かと思い、ドアを少しだけ開け訪問者を確認すると

昼間出会った綺麗な彼女がそこに立っていた。


『お休み中でしたか?よかったら、ちょっと飲み・・・ませんか?』


上目遣いで私を見つめ、

両手でワインを持っている彼女の願いを断る理由なんて一つもなく、

私は自分の部屋へと彼女を通した。


『ちょっと一人だと寂しくなりまして・・・』

『私も少し飲みたかったんだ。ちょうどよかった。』


ゆっくりとグラスにワインを注ぎ乾杯をした。

とても広いとは言えない異国のホテルの部屋で二人、

私たちの心の距離が0になるのも一瞬だった。




『だめ・・・うめーなさん私のトレヴィの泉が・・・』

『ボンジョルーノ!ボンジョルーノ!』

『ローマ・・・!すべての道はローマに・・・通ずる・・・!』




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ローマの夜は長い。















翌朝、目を覚ますとベッドには私一人だった。

昨夜のことは夢だったのだろうか。

枕元に1枚の紙切れがあった。

そこにはこう書いてあった。










『楽しい夜をありがとう。 北川景子』












こうして、私のイタリア出張の旅は終わった。



そして帰国し、友人が買うという理由から私もドラクエ10を始めた。







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